大阪人が旅行者からされる質問のベスト5に入るのが「たこ焼きどこがおいしい?」なんですが、これに満足いく回答をされたこと、または満足いく回答をしたことないがのではないですか?
実はそれには構造的な問題があるので、今日はそれを解説してみたいと思います。
構造的な問題① どうせ行けないだろうからおすすめできない
大阪人のほとんどは大阪市内に住んでいません。東京で働いている人が23区内にあまり住んでいない状況と似ていますね。
その上で、大阪人の各人には「最高のたこ焼き屋」があるわけです。 その店は市内にあることが少なく、大概が家の近所にある「地元のたこ焼き屋」です。
天王寺区のたこ焼きをベストに挙げている友達もいるのですが、彼は市内に住んでいたので彼にとっても「地元のたこ焼き屋」なわけです。
なので「旅行者には到底おすすめできない」という問題があります。
構造的な問題② おいしいたこ焼きはコスパが高い
安い材料費でたくさん作れるということ。
市販のたこ焼き粉。これに書かれている通りに家でたこ焼きを作った人もいると思います。ところが大阪人のほとんどが、この通りに作りません。 それぞれに「食感の好み」と「それを再現する自信」があるためです。 あと大量に食うし安くすむから。
市販のたこ焼き粉屋さんは消費者に失敗させまいと、確実に固くなってくれる分量でレシピを作成してくれています。
大阪人の気風なんですかね?それに従うのは負けだと感じているのかもしれない。
大阪人がおいしいと感じるたこ焼きは、府外の方からするとびっくりするほどやわらかいです。それは水の多い液をいかに崩さずに、「外はカリっと中はフワっとを」作ることができるかという「技術」にかかっています。
※ちなみに大阪人に嫌われがちな「銀だこ」ですが、これは表面を揚げるという力技を使って外カリ中フワを作り出す技術を使っています。個人的には大肯定です。うまけりゃええんじゃ。
よって、おいしいたこ焼きは材料ではなく、焼き手の技術力に強く左右されるということになります。
技術力が高いとコスパが良い→それだと商売になりづらい→巨大資本がつきづらい という、たこ焼き屋のジレンマが存在しているんじゃないでしょうか?あくまで仮説ですが。
一方、地元にあるたこ焼き屋は大きな資本でないことが多く、都会の資本主義に逆らう存在でもあります。(大阪人はこういう気骨のある存在が好きなところも否定できない。)
そしてそれも、味のうちなのかもしれない。
じゃあどこがおいしいんだよ
僕が思いつくだけで大きい2つの構造的な問題をご紹介しました。
で、なぜこんな確証もエビデンスもない思想を垂れ流しているかというと、僕の地元のたこ焼き屋がめちゃくちゃうまいし安いということを伝えたかったというだけなのです。
北信太という、和歌山とかにも近いところに住んでいるので、人には絶対おすすめできないものの、今のところ僕の人生一位のたこ焼き「たこぽん」です。
17個で500円という驚愕の安さ、最安で6個200円です。 謎に1時くらいまで開いているし、店の外にイートイン(これってインか?)があるので、地元のヤンキーから爺さん婆さんまで愛するお店です。僕も愛している。
レイ・オルデンバーグの言うところの、地位や肩書きなど社会的な区別が薄く、人々が平等に交流ができて、経済的な負担の少ない場所、サードプレイスが繰り広げられています。
スタバはないけど、たこぽんがあるんだ、おらが村には。
というわけで以上が、大阪人に軽々に「たこ焼きどこがおいしい?」と聞くと面倒くさいことになってしまうということの傍証となれば幸いです。
注:大阪人によってはちゃんと 「旅行者におすすめできるたこ焼き屋」を答えとして持っている人もいます。僕はこのような人を尊敬しています。なので、これからも気軽に「たこ焼きどこがおいしい?」は聞いてください。僕は「たこぽん」って答えるけどね。